恋日和〜春〜
ニコッと向ける大希の笑顔は時希の笑っているのとそっくり。
そんな大希に
「…花村さんは?」
と聞くと
「奥にいるけど…」
と返ってきた。
「来い。」
そう言って俺が歩き出すと、音は後をピョコピョコと追ってくる。
「高瀬くん……高瀬くん……高瀬く、」
何度も呼ぶので人差し指を音の口元に“静かに”とやるように差し出した。
「俺も“高瀬”だけど…さっきのあいつも“高瀬”だ。昼のことは忘れた?」
「お昼のこと……」
しばらくして思い出したかのように
「りょ…涼!」