恋日和〜春〜
「何か?」
「えっと…ごめんなさい。それから、入り口にいらっしゃったのは…?」
「入り口にいたのは俺の従兄弟。でもって時希の兄。名前は大希(たいき)。年は一つ上。」
「そう…」
納得したように頷いている。そんな彼女に
「次からペナルティでも設けようか。」と言うと
「え……!」
たいそう驚いた顔をした。
ーーそんなことを話していると奥の扉から花村さんが出てきた。
「悠くん…!」
「音和、体調は?」
「大丈夫だよ。」
「…そうか。涼、ありがとうな。」
「いえ、では。」
「おー、またな。」
そうして俺は図書室を後にした。
俺の任務は“音を紅葉通りを通らずに図書室へ連れてくる”こと。