嬉しいときの癖

「なんでそう思う訳？」


俺がそう聞くと、伊世はそうだねぇ…、と話し出す。


「だってさ、本当に本当に、大好きな人なんだよ？嫌いになれる訳ないじゃん」


と言って、笑った。


何でか分かんないけど、可愛いだなんて思った。


「だって、どんなひどいこと言われても、大好きなその人をもう知ってる訳でしょ？
だったら、信じられないでしょ、ひどいことを言うその人なんて。
違う、こんなはずない、この人はこんなことしない、って」


伊世は穏やかな表情のまま話続ける。


「絶対、絶対、本当に大好きな人は、嫌いになんてなれないよ！
だからわたしは気に入らないって思ったのっ」


最後まで言ってすっきりしたのか、伊世は楽しそうに笑った。