花ビラ、ヒラリ

「おいっ…篠崎!!」

…何?あっ、あーーっ!!!

「はいっ!すいません。」

「また寝てるのか!ったく~……」

授業中。私は気が付けば夢の中だ。なんでかなぁ?なぁんか考え事してたら眠くなってくるんだよね。夜寝れないくせに授業中には寝れるってどういう身体になってるのかな、私。

''何かを求め 確かめたくて 今日を生きてる''

ノートの隅っこにふと落書きした言葉。私の大好きなアーティストの曲の歌詞だ。授業は嫌いだ。こんな風に1人でたくさん考える時間が出来てしまうから。だから無性に部活がしたくなる。外から聞こえてくる体育の授業を受けている生徒達が羨ましくなってくる。
ほぉら…また考えてたら眠くなる…よ。

____♪♪♪____
終業の予鈴がなって私は練習着に着替える。早くグランドへ行くんだ。今日も頑張ろうなんて心の中でいつもそんな感じのことを唱えてから出発する。心の中で唱えるのは癖みたいなものになってしまって、多分小さい頃から胸の中で疼いてるもう1人の自分に言い聞かせるような感じなのが名残だ。

「こんにちは」
「おっ、こんにちはー!」
ほら、グランドに行けば絶対に居場所がある。ちゃんとここにある。自然と笑顔がこぼれてしまうから、まるでにやけてるみたいになってしまう。

__パシッ__。ボールがグローブをしっかりと受け止めるとなる音。私の大好きな音。
「ねぇねぇ今日さー~…」
時折まざる部員の声が邪魔をする。邪魔とか言っちゃいけないだろうけど、強くなりたいからおしゃべりはしない方が良いと思うんだけどなぁ…。

次第にこの気持ちはだんだん怒りに変わり態度に変わり、ついにはそんな自分への怒りに変わっていった。
周りには気付けば誰もそばにはいなかった。楽しくやっていた部活が始めて楽しくないと感じる始まりとなった。
いつも私を支えてくれていた部活という柱に傷がついてしまった私というのは、まったく心がぼやけた世界になってしまっていた。勉強も部活もいったい何の為に頑張ってるんだかばかばかしくなってしまったりして、本当に毎日朝がくるのを複雑な気持ちで迎えていた。

__プラスのサイクルが壊れ始めた__

意欲もなくし、支えもなくし、寝る力さえなくし、フラフラになって毎日その繰り返し。それでも何とかやっていけてるのは良い子にしてなくちゃいけないという壁のような親の存在だろうか。少なくとも自分がこんなんでは父親から母親を守れないと感じる心と幼い妹や弟達を母親から守らなくてはという気持ちだけが私を動かしていたのだろう。

そのなんとなくの日々が刻一刻とただ何もなく過ぎていった。
あの時だってそうだった。刻一刻と解決したかのように時は流れた。



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