届かなくても、

今日は短縮日程の為、早めに授業が終わり




さっさと部活へと向かう。






人と同じ時間を共有したくない。







部長とも仮面とも顔をあわせたくないし



さっさと楽器を持って音楽室を出よう。




黒と金で配色されたトランペットケースを持って




足早に音楽室を出る。






今日は確か個人練習のはずだから




誰にも干渉されずに済む。





後輩を待とうか、とも思ったが





時間がかかりそうなのでやめておいた。






一人配当教室へと向かう。






教室のドアを開けるとがらんどうとした教室があった。






なかったら困るけど。






楽器を出して音出しを始めると





やっと後輩たちがやってきた。







と同時に、部長も。







「今日、2年だけミーティングだから





図書室に来てね。」





「えっ楽器出しちゃったんだけど」





「そんなの片付ければいいじゃん!!」






来たよ。部長の逆ギレ。





意見を言っただけでぶちぎれるのは


やめてほしい。迷惑。





とは言わず、無言で楽器を片付ける。






最近、怒りを上手く隠せるようになった。




親に何か言われて頭に来ても



笑って返す。




はらわたが煮えくり返るほどひどいことをされても




ひとまず黙ってやり過ごす。





我ながら我慢強くなったものだ。





後輩達に練習する曲を伝え、




私は今来たばかりの教室を去って行った。