届かなくても、
足音が過ぎ去ったあとでそろそろと外に出る。




手を掴まれた。




体中に鳥肌が立ってしまった。




手を掴んだ主はなんと、彼だった。




彼も抜け出していた。




「きーさんも抜けてきたんだ?」




「意味ないな~と思って」





「俺も」







あれ、やる意味ある?と彼は私に問う。





不満をはらすには丁度いいんじゃない?と返すと






女子って分からないと返された。





私だって分からない。






不満があるなら対等な関係なのだから





黙ってないで言えばいいのだ。





じゃないと伝わらないのに。




私も恋愛に関しては何も言えないのだけど。






「聞いたよ。梶山と別れたんだって?




スピード破局?」




「失礼なんですけど、かなり」





「良かったじゃん」





「何が」






「…いや、別に、なんとなく」






彼は動揺した素振りも見せず




つらつらと言葉を並べた。




何考えているか、本当分からない。






「俺が前言ったやつの答え合わせ、する…?」
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