届かなくても、
麗亜は顔に怒りをにじませる。





それは先程よりひどくなっていた。





まるで綺麗な壁にひびが入ったようだ。





「うっせえよカス!!」




「それしか言い返せないの?




カスは自分自身を見て言ったら?」






わざと頭にくるようなことを口に出す。




麗亜は完全に矛先をこちらに向けた。




彼を掴んでいた手を離しその手を強く握った。




弱者は言葉で太刀打ちできなくなった瞬間






暴力に走る。





そのことは一番よく分かっている。





思った通りその手は私めがけて飛んでくる。





よし、そのまま殴れ。





顔に直撃すると思い、目を瞑った。





その拳は私が朝





床にぶつけたところに飛んできた。





普通の倍以上の痛みに泣きそうになる。





青く腫れ上がったところに血が滲む。





かなり痛い。





目をゆっくり開けて麗亜を真正面から睨みつける。




麗亜の目には怒りしかこもっていなかった。
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