届かなくても、
自分たちの教室に入ると



一気に教室内が騒がしくなる。



争いの渦中の彼と



その渦中に入ってしまった私。




注目されることは予想していたが



ここまでとは思わなかった。




あいつら付き合ってんの!?、



言われてみれば仲いいよね、



一方的に好きなだけじゃね?、




声が双方から飛んでくる。





騒がしい教室だ。




真相を知りたいくせに



張本人には直接聞かない。



好奇な物を見る視線が伝わってくる。




うざったくてしょうがない。




別にどうだっていいじゃないか。




「やっぱきーさんって蛍と付き合ってんでしょ!?



早く公開しちゃいなよ、このアツアツ~!!」




うぇ~い、と煩いクラスの女子が寄ってくる。



気持ち悪いくらい香水の臭いがきつく、



もはや悪臭だ。



『やっぱり』ってことはそういう噂は流れてるのか。



彼に悪い。



なんて、頭の悪い女なんだろう。



姫の姿はなく、仕方なく適当に女たちをあしらい


私は読書を始めた。
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