届かなくても、
昼休みが過ぎ放課後になっても



視線は変わらなかった。



あちこちで私達の噂をしているのが聞こえる。



仮面女からの視線がうざいので



こそこそ話すのは本当にやめてほしい。



無神経な視線が、声が、



こちらまで素通りする。



帰る用意をして部活に行かなくちゃ。





この教室から出ないとなんだか




押しつぶされそうだ。





きつい。とっても。




目立つのは得意だけど




それは自分自身を取り繕うためのものであって



人の視線を浴びるのは苦手だ。



彼をちらっと見ると涼しい顔で部活に行こうとしている。



あんな風に何でもない顔で行かなければ。



そもそも、私は顔に出過ぎなんだ。



平静を装うも自分でもわかる。



明らかに不自然すぎる。




そしてまたまた消える姫。




これは神様のいたずらだ…





心の中で何度目か分からない溜息をついた。
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