届かなくても、
帰りのHRが終わった。



息苦しい空気が一気に解ける。



帰る準備をしたら、すぐ部活に向かう。



最後まで教室に留まっている人たちってすごい邪魔。




パート練習の時に、その人達のせいで




時間を無駄にしてしまう時がある。




あと一年、こんな人達と一緒に過ごすと考えると




気が滅入る。





部室についた。





ひとまず楽器を出す。




不意にぬれこんにゃくのようなものが




私の首に触れた。





「ひゃあ!!」



「えっ」




何するんだよ!!という視線で振り返ると




そこには通りすがりのドン引き顔の夢叶と




笑いをこらえた彼が。





「なっ何するの!!」



「首に濡らした手を当てた」




平然と答える彼の後ろを



夢叶はドン引き顔で通り抜ける。




「やめてよ!!変な声出しちゃったじゃん!!」



「きーさん面白いよね。



主にリアクションがw」



「私はおもちゃか…」




楽しそうに笑う彼の後ろ。



夢叶のチューナーについていた、



パンダのキーホルダー。




夢叶はうざくない程度にキーホルダーをつけるのが好きらしく




お手入れセットには前、色々なひつじがついていた。




歩くたびにぽんぽんと揺れる羊が、



実は可愛かったりする。
< 124 / 213 >

この作品をシェア

pagetop