届かなくても、
「あれ?」


「おい梶山~!!」




楽器に存在感を放つようにつけられている



パンダ。



武藤も気になったのか梶山くんに声をかける。





「お前、夢叶先輩とオソロじゃん!!



付き合ってんのかよ~!!」




武藤が冷やかす。



私もニヤニヤしながらからかった。




「本当だ~。



デレデレなの?」



「…悪いですか」




顔を真っ赤にさせて拗ねたように言う梶山くん。



なんだ、可愛い所あるじゃん。



梶山くんはその後も武藤に付きまとわれていて



ぶーぶーと言いながら武藤とじゃれ合っていた。



夢叶はそんなのお構いなしに楽器を吹いていて



マイペース自由人は変わらないものだと思った。




半音階を間違うと「あっぐ~」と叫ぶ。


課題曲を間違うと「ふぁ~っ」と叫ぶ。


連符を間違うと「うが~っ」と叫ぶ。




間違い過ぎだと思った人もいるかもしれないが



案外難しいらしく、指が回らないらしい。




「私も行こうっと」




ケースを持って、パート練習へと向かった。
< 126 / 213 >

この作品をシェア

pagetop