届かなくても、

こんどこそ

あー緊張する。



胸に手を当てて深呼吸する。



最近転校してきたのに問題を起こして明日転校する麗亜は



そそくさと昇降口から出ていった。



下駄箱の前で待っててと言われたのでその通りに待っている。



彼の談笑する声が階段に響く。




「き、来た…」




息の詰まった声を出す。



彼と帰るのなんて前もあったけど



こんな緊張するものじゃなかった。



胸がバクバクと音を立てる。




顔だけは平静を装っているけど



心の中はもうパニック状態。




その時だった。





「蛍くぅん。今日一緒に帰るよね?」




仮面の声だった。



私は下駄箱の隅っこに逃げ込んだ。
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