届かなくても、
私は初めて、生徒会に立候補した。

役職は書記。


字が汚いのに立候補したのは秘密で。


私なりに考えた結果だった。



卒業式前にやる。



私はそこで個性的な演説をした。



だって、書記は各役職の中で一番



激戦区だから。



とにかく目立たなくちゃいけない。



全容を明らかにしよう。



*::*




「皆さんこんにちは!!


生徒会書記に立候補した宇佐見希子です!!


きーさんと呼んでくださいね?」


「「「きーさん!!」」」


「ありがとうございます。


学校内でもそう呼んでいただけると私は


喜びますので是非声をかけてくださいね!!


では立候補理由を明確に申し上げます。


その理由は各行事の活性化です。


と言っても『え?何それおいしいの?』と思った人もいると思います。」




会場に笑いが起きる。


私は続ける。



「そんな人のために具体的な案を出したいと思います。


身近な行事と言えば全校集会!!まさにこれですが


全校集会は退屈だ…そう思っている人も少なくはないはずです。


そんな人のために案を練ってみました。



それは各部活動が大会・コンクール前に


発表をしたりするのはどうでしょうか。


例えば、体育館内の部活であったらコートでスタメン同士


本気の試合をしてみると面白いのではないでしょうか。」



頷いてる人もいる。


そして笑いをとりにいく。



「皆さん、生徒会室の窓に貼ってある「くまのぷーさん」も


必要ですが、


生徒会書記に立候補した「きーさん」も必要です!!」




笑顔で言い放つ。


ひとまず笑いはとれた。



そして、最後に宣誓。




「私が生徒会に入った暁には絶対に全校集会や体育祭を成功させます。


絶対に!!です。


ここまでお付き合い頂きありがとうございます。


長くなってしまいましたが、ご清聴ありがとうございました。」




お辞儀と共に拍手に包まれる。



アドリブだらけで何言ってるか分かんないけど


きっと気持ちは伝わった。



その思いを胸に私は笑顔で檀上から降りた。


< 145 / 213 >

この作品をシェア

pagetop