届かなくても、
「蛍。待って」
部活が終わり、可愛い後輩たちにも別れを告げ
彼を呼び止める。
内容はあの女のことについてだった。
本当はすっぽかしてやっても良かったのだけれど
私の興味も若干含まれている。
「何?俺、早く修也と帰りたいんだけど」
「聞きたいことがある。
二人で話したいの。
私には関係ないけど」
「じゃあ、二人でなくてもいいじゃん」
「そうだけど…話さなくちゃいけないの。
どうしても」
彼はいかにも面倒くさそうに眉間に皺をよせ
考える素振りを見せる。
「駄目って言ったら?」
「ボコられる」
頷け~頷け~と私は呪文のように心の中で唱える。
彼はしょうがないという風に笑って頷いた。
「分かった。話すよ」
彼は面倒くさそうに笑った。
そんな彼に私も釣られて笑ってしまった。