届かなくても、
「本当にこれで良かったの?」



「うん。」




お目当ての物、買ってもらいました。



ベルト部分はマリンブルーを基調として



時計の淵の部分は金色。



すごいシンプルだけどこれ結構可愛いんだ。



もう私達は帰る途中で他愛のない世間話をしている。



買い物は早く済んだ。



今日は強風が吹いている。



彼の髪の毛は風に吹かれて



髪先が空へ向かっている。




「文通、しようね」



「きーさん返事の手紙書いてよ?



来なくなったら俺、泣くかんね?」



「はいはい。蛍こそ、ちゃんと返事書いてよ?」



「当たり前だっつの。」





話の間が空く。



お互い話さなくてもいいような気がしたから。



これから、どれくらい会えなくなるんだろう。



きっと2,3年じゃすまない。



それでも、彼と続いていけるのだろうか。



すごく、不安になってくる。




「…きーさん。」



「大丈夫だから、」



「大丈夫じゃないじゃん。」




そんなことばっかり考えてるせいで



涙が出てきてしまった。



彼は大袈裟に心配をする。



怖い。




離れたことでこの関係が崩れないか。
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