届かなくても、
反射的に顔を上げた。
目の前にいたのは、
「修也…?」
「久しぶり。」
「久し、振り…」
あーあ、会いたくなかった。
こんなに曲がった私、見られたくないな。
顔を背けたくなるのを抑えて
必死で笑顔を取り繕った。
姫がセットじゃないなんて、変なの。
「折角だし、どっかでもお茶しない?」
「私はいいけど…
姫が怒りそう…」
「別に。
話してほしくないなら
そういう風に言えばいい話だし。」
うっ…
なかなか厳しいこと言う。
「分かった。」
「じゃ、行こう。」
この後、衝撃的な事実が
修也の口から知らされるとは
この時の私は知らない。