届かなくても、
近くの喫茶店へと入る。




注文をしてからも、終始無言。





これ、お喋りした方がいいのかな?




でも、話す話題なんて特にないし…





そんな葛藤に明け暮れ、心の中で騒いでいた時。





注文していた物がウェイトレスによって運ばれてくる。





かちゃん…と机の上にカップが置かれた時だった。





修也がこの時を待っていたようにやっと口を開いた。





「夢叶。聞いた?」




「……バイト中なんですけど。」





嫌悪感を滲ませて返答したのは





運んできたウェイトレスであった。




え、夢叶?




顔をよく見ると、




あぁ確かに夢叶だ。





でも全然、気づかなかった。






かなり変わったな。





中学時代ボブだった髪の毛を伸ばし、




下ろしたら腰の辺りまであるであろう髪を高く結んでいる。




そのゴムには小さな花の飾りがついていた。




修也は言った。




「いいよ。俺、店長に顔利くし。




いいですよね、店長?」






店長と呼ばれた、髭を生やした男性はにっこりと頷く。




店長ッ!!と嫌そうに反抗するも、





夢叶は渋々私の隣の椅子に座った。





一体、何が始まるんだろう?
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