届かなくても、
あの後、先生が来て仮面から事情を聴いたところに寄ると




このような内容らしい。



*::*





「付き合ってください」



「ごめん、君のことよく知らないから」





そう言われて目に涙を浮かべ




走り去って行く仮面を彼は涼しげな顔で見ていた。






「いいの?あれで」




「いいんだよ」






冷たいことを言われ





泣いて逃げた仮面の背中が見えなくなるのを待ち




何事もなかったように歩き出す彼に問いかける。





しかし彼は面倒くさそうに応答するだけだった。








『ごめん、君のことよく知らないから』







冷たく響く、



けれどしっかりと耳に残る言葉。




最近、このようなことが多い気がする。






「クリスマス、近づいてるからじゃないの?」



「うぇ!?」



「声に出てるから」



「あ、そう…」




クリスマス。なるほどね。



クリスマスに彼氏彼女とデートしようってことか。



私は勝手に納得していた。





*::*



それをどうやら手下の一人に聞かれていたらしい。





しかし、そんなことで


ここまで発展させるとは…





器の小さい女だ。




先生に泣きながら話す仮面の横顔を見ながら




私は目の前の仮面の馬鹿さに呆れていた。



< 49 / 213 >

この作品をシェア

pagetop