届かなくても、
そんなことを聞かされて
元気がなくなるとか、
そういうことはなかった。
ただちょっとした趣味が出来なくなった
そんなような感覚だった。
改めて
恋愛とか自分にとっては二の次なんだ、と思う。
学校は学習するための場であり
人間関係を第一にする場ではない。
彼の好きな人が誰だろうが
今の私にとってはどうでもいいことだった。
「その彼女って誰ー?」
近くで話を聞いていたもう一人の友達が
その友達に聞いた。
その子はしばらく考え込む仕草をして
あっと声を上げ指を指した。
「あの子だったと思う。多分」
指を指す方向を見ると
清楚系の女子が立っていた。
黒髪を二つに分けていてストレート。
ぱっちりした目がくるくると動いていた。
「誰?」
「転校生じゃん?
えっとー、あの、
一組に来た転校生」
「『レイア』ちゃんだっけ?」
『レイア』と呼ばれたその子は
彼を見つけると小さく手を振った。
それを見た彼の友人が冷やかす。
彼は友人にうっせぇよ、と笑って
『レイア』ちゃんの元へと向かう。
持っていた学校指定の鞄には
『松川 麗亜』と書かれていた。