届かなくても、

get home

私は歩いて家に帰らない。


何故かというと、学校が終わると習い事があるから。


毎日ある訳じゃない。


帰る頃には外は真っ暗で見えないし両親も危ないからということで迎えに来てもらっている。


一方の彼は毎日歩いて帰っている。


両親は共働きで医療関係の仕事についているらしい。


休日にしか休みがとれないので迎えは来れないらしい。


そんな彼はいつも人気者なので


いつも歩いて帰る二人の女子と帰っている。


たまに男子とも帰っているけど


そんなに頻度は多くない。


ちなみに余談だが、その二人組は私の大嫌いな人種だ。


仮面女とメンヘラ。


この二人、まずは仮面女の方から。


仮面女の基本性格とは、先輩と先生、それと忘れちゃいけない、男子には優しく接するくせに裏でそいつらのことを平気で踏みにじっている。


正に悪魔だ。


恐らく、私が彼のことを好きなのを知っていて


私昨日彼とこんな話したのよ!!貴方みたいな魅力ない人間は残念ねぇ!!


というとても人とは思えないゲスすぎるオーラがビシバシ伝わってくる女だ。



次はメンヘラ。


泣けば助けてくれると思っていて「私は可哀想な女」という自分に惚れ込み挙句の果てに泣いて慰める周囲の人を


私の周りにはあなたと違って友達いっぱいいるのよ


といかにも言いたげな様子で視線を送ってくる奴だ。


クラスが一緒な上、部活まで一緒だから一応関わってるけど本当嫌気が差す。



彼は今日もその二人と帰る。


いつも通り、口元に笑みを浮かべたまま。


でもあれは作り笑いだと私には分かる。


以前心理学の本を読んだときそこに記述されていた。




『右側はよそ行きの顔。左側は本音。』



右側は嘘をつくのが得意だが、左側は下手だということだ。


彼は右側の口角が上がっている。


左側の口角はあまり上がっていない。


彼は楽しくて笑っている訳ではない、意味もなく笑ってる。


あの表情は注意して見ていると


私といるときにもよくやる。




彼は私と一緒にいるのが楽しくないのだろうか。
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