届かなくても、
帰り道、私達は一言も話さずに帰った。





無言で家路へと着く。






途中で夢叶と涼と別れ



私と修也だけになった。





まるで他人のように離れて歩いた。






前を歩いている修也が後ろの私に問いかけた。







「どうしてこうなっちゃったんだと思う?」






答えづらい。




修也はストレートに物を言うから




扱いやすい人ではないから答えに困る。





私が返答に迷っているのを感じたのか




修也が口を開いた。






「俺、麗亜が何でこんなことしたか気になるんだ。」




「それは…



好きだからじゃないの?」







「きーさんならする?




好きな人にそういうこと」




「いや。しない」





即答した。




私なら絶対に彼にそんなこと…




そこまで考えてぷっつりとやめる。





私は梶山くんと付き合っている。




彼はもう、忘れよう。そう、忘れなきゃ。






「俺さ、なんか、裏がある気がする。




一連の事で。」




「それは…私も思ってた。」




「もし時間があるならさ、ちょっと調べてみない?」




「いいよ…?」





修也の顔が見えないからよく分からないけど




声がまるで泣いているようだった。





変声期なんだろうか。




私は不思議なことに泣かなかった。




でも失恋らしきもののときは泣いた。





それってつまり、




自己中なんじゃないかな。






私はうすうす感じてきていた。
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