届かなくても、

負荷

気が付くと目に入ったのは白い壁だった。




私とは全然似つかない壁の色。






自分の家ではないと気づき飛び起きる。





病院だった。






見える景色で分かってしまう。





溜息が漏れる。





とうとう彼と同じ景色に来てしまった。






嫌だなぁ、ともう一度溜息をついた。






頭に何だかガサガサしたものがついている。





不思議に思って触ると途端に激痛が走った。





「いっ!?」







予期せぬ痛みに声を上げてしまったが




すぐに立ち直り傷のある所を触って探す。




もう一度痛みが走る。





傷に辿り着いた。




そこを触っていると看護師らしき人が来た。





さっきまで意識のなかった私が



起き上がって頭を触っているとさすがにびっくりしたようだ。





すぐにその看護師はどこかへと走り去る。






すると白衣を着たおばさんが来た。





医者だ。






「変な所はないですか?」




「頭のここが痛いです。」





医者のネームは『森』と書かれている。



医者は頷いた。




「頭をかなり強く打ったみたいだから



精密検査はしたけど異常はありませんでした。





ただ、検査のテストをしますから



質問に答えてくださいね」





そうして簡単な質問をされた。



中には『は?』となった質問もあったが



普通に答えた。



質問が終わるとお母さんと話してきますね、と




医者は出ていく。





にこにことした顔に深刻な表情を刻んで。



何だか神経を逆なでされた気分だった。
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