届かなくても、

「うっ…」





胸の息苦しさで目が覚めた。




ぎゅーっと胸が締め付けられる。





「うぁっ!!いたっ!!」






心臓が痛くなる。



確実に痛みは増している。




横を向いたとき、驚いた。





人の足がある。




人とは思えない真っ青な足が。



足をたどって上を見ると






それは女だった。




黒い髪、麗亜にそっくりだ。



しかし、心臓の痛みは消えることなく



むしろ痛みが増している。





「…あ」





女は聞き取れないほど掠れた声をだし



瞬きをした次の瞬間には姿を消していた。






心臓の痛みはゆっくりと治まりはしたものの




見てはいけないものを見てしまったような気分だった。
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