2人の距離
そうして、宙について歩いていると、宙の様子が変。
「宙、緊張してる??」
「えっ!?……い、いや。してないっ!」
「ふーん。そう、じゃあ、どこに向かってるの??職員室なら反対方向だし…」
「う……うん。知ってる…だって、俺、職員室に用事無いし。」
なんだろう、気持ち悪い。こんな宙を私は知らないよ。
「今日の宙、変。」
「えっ!?そ、そうかな??」
しどろもどろに、なりながらも歩き続ける、宙。私は、追求する。
「うん。変だよ。言葉つっかえてる。」
「えっ!?……うん。」
シュンとして、足を止め、俯いた宙。私は、宙を真っ直ぐ見つめる。
「ねえ、今日の宙、私の知っている宙じゃない。こんな宙キライだな。いつもの宙が好きなのにさ。だから早くいつもの宙に戻ってよ。私、ソワソワして、気持ち悪くて、嫌だ。」
宙は、目をぐわっと大きく見開いて、ポカンとしている。
しかし、しっかりと右手は、自分の口元を覆い、必死に頬が紅く染まっているのを、隠そうとしている。
すると突然、宙の左手が私の右手を捉え、引っ張って、走り出した。
「えっ!?どこ行くの!?」
「水希のバカっ!!!」
宙はそれだけ言うと更に走るスピードをあげた。
私は、足が絡まりそうになりながらも、必死に走った。