2人の距離
走って来たからか、少し息が弾んだ宙と、ゼイゼイ言っている私。
「私、一応、ゼーゼー、ダンス部、ハァハァ、何だけど」
ハハッと隣で宙が笑う。
「そりゃ、ダンス部とサッカー部とじゃ、走る量が全然違うからね。あ、いや、ダンス部をバカにしてる訳じゃないから!!」
慌てる宙を見て、フッと口元を緩ませる私。そして、そんな私を覗きこむ宙。
ああ、この人がずっと私の隣に、いたらいいのに…
「宙が好きだなぁ…」
「……えっ!?」
宙は驚いて、一本引いて、あぁ、とか呟いてる。
「ちゃんと、計画したのに……」
と言って、しゃがみ込み頭を抱えた。
私は、宙の頭野出を退かし、ガシガシ撫で回した。
すると、宙は私の手を取って
「水希、計画、実行していい??」
と、上目使いで、躊躇いがちに、尋ねてきた。
「ハイ。どうぞ。」
と言い、ニッコリ笑ったつもりが、どこか引きつってしまった。
宙が、立ち上がり、コホンと咳払いをし、真剣な顔で
「ずっと前から好きだ。
俺の彼女になって、いつも隣でわらってて、水希」
ハッと、俯いてしまった、私。いつもは見せないような、真剣な顔に、私の胸は、ドキドキと猛スピードで打ちつける。
頭の上から、いつもの優しい宙の声が
「みーずきっ、顔上げて?水希の顔ちゃんと見たい」
その声が私を少し安心させた。そっと顔を上げると、フワーと笑う宙。その笑顔に強ばっていた、頬も心も一気に和らいだ。
「何となく、答えは分かってんだけど…
でも、ちゃんと、水希の声で、俺の告白に返事して??」
「えっ!?こ、告白……」
宙は、私がまた下を向かないように、私の頬をひと撫でしてから、顎をしっかり捉えた。
「えっ!!……そ、宙っ!!」
「ん??ほら、水希…水希の気持ち、俺を、真っ直ぐ見つめて、言ってごらん。」
ぐるぐると目線だけを泳がせ、慌てる私と、余裕な宙。
「あ、いやっその…そ、宙。私……」
「ん??私が何??」
私は意を決して宙を見つめ
「…宙。私…宙が好き。」
と、きちんと目線を合わせて言った私。
カァーーーと真っ赤になる宙。私の顎をしっかり捉えていた手は、力が抜けていた。それを見て、感じた私
やっぱり、宙だ。
私は近づいた距離から、一本下がって
「宙、よろしくお願いします。」
と頭を下げた。すると、宙も一本下がって、頭を下げ言った。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」
そして、2人は見つめあって、微笑みあった。