俺様社長に捕らわれて
その頃、美優はというと…。
「美優さん?そんなにそわそわしてどうしたんですか?」
「あ…仕事中にすみません…」
「いえ、定時まであと5分もないですし、今日中にやらなければいけない仕事はもう終わっていますから構いませんよ?この後、ご予定があるんですか?」
「え?!何でそれを…?!」
美優はこの後の予定のことをズバリ当てられ、焦っていた。
そんな美優の姿に、田中は思わず笑みが零れた。
「そんなに何度も時計を見ていれば、大いに想像ができます」
「あ…なるほど…」
「はい。あれ程わかりやすい美優さんは初めて見ました」
「あははは…」
「ちょっと早いですが、ご予定があるのであれば、もう帰っていただいても大丈夫ですよ?」
「で、でも…」
「今日の分の仕事は終わっていますし、構いません」
帰って良いと言われ、美優はどうしたら良いのかと困り果てていた。
そんな美優の思いに気付いたのか、田中はニヤリと笑って見せた。