俺様社長に捕らわれて
「そう言えば、俺と付き合うこと、お父さんに話した?」
「い、いえ…まだ言えてないです」
「……そう……」
「…何かありましたか?」
「いや…。ただ、ちょっと気になることがあってね」
「気になること?」
洋輔は美優に話をしようか迷ったような表情をしていた。
しかし、意を決して話し始めた。
「…藤堂社長が会いたいと連絡をしてきてね」
「父が?」
「あぁ」
「何でしょう?」
「会社でも自宅でも特にこれといって何も言っていませんでしたが…」
「そうか…」
「何でしょうか?」
「さぁ。…まぁ、会ってみればわかるさ」
「洋輔さんに迷惑をかけるようなことでなければ良いんですが…」
美優は心配そうな表情で洋輔のことを見た。
そんな美優の視線に気付いた洋輔は、ニコリと微笑んだ。
「美優は心配しなくても良い」
「でも…」
「会社のことであれば、話を聞かなきゃわからないが、プライベートのことであれば、藤堂社長に何を言われても譲る気はないから、安心して」
「洋輔さん…」
「自分が話を振っといてあれだけど、この話は終わりにしよう。今は、この時間を楽しもう」
「そうですね」
それ以降、その話が出ることなく、2人はデートを楽しんでいた。