俺様社長に捕らわれて
その頃、洋輔はというと、
「そろそろ藤堂社長との会食の時間です」
「あぁ」
「…緊張しているんですか?」
「当たり前だ。彼女の父親と会うんだぞ?しかも、一度は業務提携を持ちかけた相手。何と言われるか…」
「まぁ、今付き合っているのも、買収目的だと思われても仕方ないと思います」
「だから、買収じゃない。業務提携だ」
「それは社長の言い分です。相手側はそう思っていたでしょ?」
「……確かに…」
「おいおい、お前、そんなんで大丈夫かよ?」
「……」
「いつもの強気なお前らしくないぜ?」
圭人にそう言われると、洋輔は目を閉じて、何やらジッと考え事をしていた。
そして、パッと目を開けると、椅子から立ち上がり、それまでの表情とは打って変わり、キリッとした表情をしていた。