俺様社長に捕らわれて
「あぁ。でも会ってみて良かったと思っている」
「何故ですか?」
「全ては美優、お前のためだったと知ることができたからだ」
「私?会社ではなくて?」
美優は徹也の言葉に疑問を感じた。
業務提携を持ちかけてきたくらいだ。
自分と付き合ったのも、実は会社のためではないのかと、不安を覚えた。
「あぁ。彼は本当にお前のことを想ってくれているし、付き合ってもいないうちから、長谷川社長は、美優、お前のことを考えてくれている。普通に考えたら、長谷川社長との結婚を私は認めるわけにはいかない。しかし、そうなった時のことを考えて、長谷川社長は今日、計画案を提示してきた。どちらの会社にとってもベストになる形をな。それ程、お前を手離したくないそうだ。父親である私の前で彼は惚気ていたよ」
「………」
「そんなに想われているなんて、幸せだな」
「……反対しないんですか?」
「反対しようにも、反対できるだけの材料がない。それに、父親としては、娘をそんなにも想ってくれているだなんて、嬉しいじゃないか」
そう言った徹也の表情はとても嬉しそうであった。
すると、お茶を運んできた美香が拗ねた表情をしていた。