俺様社長に捕らわれて
「美優」
「恥ずかしいです。全く気付きませんでした」
「俺も…」
「洋輔さんでも気付かないってことあるんですね」
「そりゃぁ、人生に一度きりのことだからね。美優の誕生日にプロポーズをしようと決めてはいたが、こんな大事なこと、緊張しないわけないだろう?」
「洋輔さん…」
洋輔の言葉に美優は、更に目に涙を溜めていた。
「さて、俺としてはこのまま見世物みたいになるのは嫌だし、移動しようと思うんだが…」
「そうしてもらえると嬉しいです…」
「じゃぁ、美優。両手を首に回して?」
「…こうですか?」
「上出来。そのまま離すなよ」
「えっ?ちょっ…洋輔さん?!」
洋輔は美優に首に両手を回させると、そのまま抱き上げた。
まさか、ここでお姫様だっこをされるとは思いもよらなかった美優は、洋輔の首元に顔を隠した。
「それで良い。顔を隠していれば恥ずかしくないだろう?」
「でも、それでは洋輔さんが…」
「俺は良いんだよ」
「ありがとうございます」
洋輔は美優を抱き上げたまま、公園を後にした。