俺様社長に捕らわれて





「ところで、その目標というのは俺が聞いても大丈夫?」

「でも……本当にまだ夢の段階の話で、まだ勉強中ですし全然目標とは程遠いんです…」

「それでも構わない。君がそんな風にキラキラ輝いている理由を知りたいなと純粋に感じたんだ。まだ実現には程遠くても、人は目標があれば頑張れる。俺に出来ることなら、持ってる力を使って協力するよ」

「そ、そんな…。長谷川社長のお力を借りるだなんて…。それはご迷惑なので気持ちだけ受け取っておきます」








美優は落ち着くために、カフェオレを一口飲んだ。




そして、重たい口を開き始めた。









「あのパーティーの後で、凄く悩んだんです。自分が本当にしたいことは何なのか。秘書の仕事は勿論嫌ではないですし、やりがいも感じています。だけど、他に自分がやりたかったことや、やってみたいと思ったことはなかったのかって…」

「………」

「そしたら…一つだけ思い出したんです。私が小さい頃から憧れていた物を…」

「もしかして、それが君が言っていた目標?」

「はい。私、小さい頃に両親に連れられて、ジュエリーが出来るまでを工場に行って見学したことがあったんです。職人さん達が一つひとつ丁寧に仕上げている姿を見て、自分がデザインした指輪を作れたら…って思っていたのを思い出したんです。その当時、描いたデッサンを職人さんが作ってくれて、いつも肌身離さず持っていたのを覚えてます。……けど、そんな思い出や小さい頃の夢も、成長していくうちに忘れてしまっていました」








そう告げた美優の表情は、悲しそうな表情を浮かべていた。





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