俺様社長に捕らわれて
「それで具体的には何か決まったのか?」
「いえ…それがまだで…。独学ではなく、ちゃんと学校へ行って学びたいとは思っているんですが、仕事をしている為、融通が効く場所となるとなかなか…」
「そうか…」
「せっかく見つけた目標なので、妥協はしたくないんです。ゆっくりでも良いから、仕事と両立しながら出来る学校を探したいと思ってます。それと、それだけでは時間ばかりが過ぎてしまうので、空いた時間を見つけて、デッサンを描いたり、お店にウインドーショッピングに行って、イメージを貰ったりするようにしています」
「へぇ~…」
「私の話を聞いて頂いて、ありがとうございます。まだ人に話せるような目標なんかじゃないし、出会ったばかりの長谷川社長に話をしてしまうだなんて…。でも、長谷川社長に話を聞いて頂いて、ますます頑張ろうっていう気持ちになりました。ありがとうございます」
「君ならきっとその目標を実現することが出来ると信じている」
「ありがとうございます。長谷川社長も負けずに頑張って下さいね」
「!!……あぁ…」
美優の言葉に驚いた洋輔ではあったが、嬉しそうに返事をしていた。
すると洋輔は、スーツの内ポケットから何かを取り出した。
そして、何やら紙の裏側にスラスラと文字を書き始めたのである。
美優は不思議そうにその光景を眺めて見ていた。
何やら書き終わった洋輔は、その紙を美優に渡して来たのであった。