俺様社長に捕らわれて





「えっ?」

「俺の名刺。裏にプライベート用の電話番号とアドレスを書いておいたから」

「えぇっ!…そ、そんな…プライベート用の連絡先だなんて頂けません!」

「これも何かの縁だし、受け取って?うちの会社、今の所ジュエリー部門がなくてあまり力にはなれないかもしれないけど、ゆくゆくはジュエリー部門にも手を出したいと考えてるし、何か君の力になれたら…と思ってる」

「で、でも…」

「君のおかげで俺の心は救われた。俺も君のために、何かしてあげたいんだ」

「長谷川社長…。本当に良いんですか?」

「勿論。プライベート用の番号を教えた女性は君が初めてだし、嫌だと思ったらプライベート用なんて教えないさ」

「…すみません、ありがとうございます」








美優はそう言うと、洋輔の名刺を受け取った。


そして美優も鞄の中から名刺を1枚取り出し、そこに何やら書き始めた。









「どうぞ、私のプライベート用の連絡先です」

「あぁ…ありがとう」








何でもないように名刺を受け取った洋輔であったが、ニヤリとほんの一瞬笑っていたのを美優は気付いていなかった。
まさかこんな形で、美優のプライベート用の連絡先を手に入れられるとは思ってもおらず、顔が緩むのを必死に抑えていた洋輔なのであった。




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