俺様社長に捕らわれて
「そろそろ出ようか。楽しいひと時だったが、美優のタイムリミットが近づいている」
「あ…本当だ。気付かなかった…」
「今、出れば余裕で間に合うだろう?」
「はい」
「……美優…」
「…何ですか?」
「困ったことがあれば連絡してこい。相談に乗るから」
「はい」
「…じゃぁ、行こうか」
そう言うと洋輔は立ち上がった。
それにつられて、美優も席をたった。
会計を洋輔が済ませると、2人は外へと出た。
「ごちそうさまでした」
「あぁ。……1人で大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫です」
「そうか。9月ももう終わるというのにまだ暑いからな…。気を付けて帰れよ?」
「クスッ……洋輔さんって見かけによらず実は心配性なんですね」
「……自分でも驚いてるよ」
「えっ?」
「俺が人のことを心配するのは、美優だけだよ」
「っ……」
「さ、これ以上ここにいると本当に間に合わなくなる。美優、またな」
そう言うと、洋輔は名残惜しそうに美優の頭を撫でた。