俺様社長に捕らわれて
買い物が終わると、美優はそのまま自宅に帰って行った。
「お帰りなさい」
「ただいま、お母さん」
「あら?珍しいわね。買い物して帰ってきたの?」
「…うん」
「なーに?暗い顔しちゃって」
「ううん。何でもない」
「そう?早く着替えて着なさい。今日は貴女が好きなロールキャベツよ」
「はーい」
美優が住む藤堂家は、父親が社長という肩書きであるものの、一般家庭と何ら変わらない生活を送っていた。
社長令嬢と言えば聞こえは良いが、普通の一軒家に両親と一緒に住んでいる年頃の女の子達と変わりがないのだ。
その証拠に、藤堂家には執事やお手伝いといった存在がいないのであった。
だから必然的にご飯の支度は、徹也の妻である美香の仕事なのであった。
昔から美香が作るロールキャベツが美優の大好物であり、美優は言われた通り急いで部屋着に着替えた。
勿論、先程買ってきたドレスをハンガーに掛けることを忘れはしなかった。