♠俺様王子と貧乏メイド♧



案内されたのは机やソファーが
置いてある個室。




ロイヤルな机の上にお爺さんは
どさっと資料を置いて、眼鏡を
かけた。



「はじめまして。私の名前は
 小林 幸雄でございます。」

お爺さんは私の前のソファーに
腰掛け小さく頭を下げた。


「は、はじめまして。私は真宮 咲良です
 なぜか彼のメイドに突然…」

「全部承知でおります。あなたみたいな方
 うちのメイドでは何百人もいるので
 そんなに驚かなくても大丈夫ですよ」



え…私みたいな人、何百人もいるの?
じゃあ、さっき門の前にいたメイドの
ほとんどが彼の好み?!



「では、さっそくメイドの仕事をする
 にあたっての給料なんですが。」


「え、給料貰えるんですか!?」


そうだ!働くんだから当たり前だよ!
ここはお金持ちだから時給2000円くらい?
あ、いやでもあんなに雇ってたら…



「そうですよ。給料と言いますか、
 真宮家の生活費など全額免除。
 これ全部真宮家にはご説明済みなので。
 それと…碧様が咲良さんを西園寺学園に
 転入させたいと申しておられたんで…」



ぜ…


「全額?!?!!」



予想以上だ…お金持ちをなめてた。



「って、え!?
 彼、碧って言うんですか?
 しかも西園寺学園に転入??」



「あ、はい。え?坊ちゃま申されて
 おられなかったんですか?!
 それは失礼しました。
 そうです。咲良さんには明日から
 西園寺学園へ転入してもらいます」



転入…転入?!


「困ります!!私、今の学校
 凄く好きで…」


私は身を乗り出して訴えたけど
小林さんは私の顔の前にビシッと
手を出した。

「いえ。それはだめです。坊ちゃまの
 命令なので。」



坊ちゃまの命令は絶対なのか…

まあ、でも生活費全額
出してもらうんだから別に近所の学園に
転入くらいいいじゃない。


「わかりました…転入します…」

「あとそれと…」

まだあるんですか…






「あなたにはこれからここに住み込みで
 働いて貰います。もちろん学園にも
 通ってもらいますけど」



え、ええええええええ?!?
こんなお城に私、住んじゃうの?!

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