♠俺様王子と貧乏メイド♧



10年…?



10年間も碧は親と会ってないの?!





「なんで…っ」


私が碧に駆け寄ると碧はベッドに
入りながら、口を開く。




「ま、いいじゃん?もう慣れてるし
 今更寂しいとか思わねーって。
 そんなことよりさ、初日おつかれ」




碧は笑って手招きしてくるけど
私は笑えなかった。



あともう一つ。




「まだ質問があるの。ねえ、なんで
 この部屋を出ると私に冷たくするの?」


「…特に理由はねーよ。
 てゆかさ、今日あいつに何言われた?」



う…話を反らされた。



私は碧のいるベッドに入りながら



「戻ってきてって言われた」




 
もちろん…戻るつもりはないけど




でも茜ちゃんに会いたい。







「ごめんけど、俺は戻らせる
 つもりねーからな」




「私だって、戻るつもりないし!」 




家にも帰りたいけど…






そんなわがまま言ってられない。





だって碧は10年以上、親に
会えてないのに


私は数日離れただけで弱音吐くとか
同じ年なのに子供すぎでしょ!







そんなこと考えてたら

碧が私を胸に引き寄せた。 

   



「な、なにっ」





何でこんな事するの?





「おまえはさ、あの幼なじみが 
 好きなの?」

  


頭上から聞こえる碧の声。





「いや、別にそんなんじゃないよ」
     



勇人は大切な幼なじみ以外
何者でもない。






でも私の中で一番大事な男の子。


誰よりも大事。





「ふーん。」




「てかさ!碧、モッテモテだね!
 早く彼女作ればいいのにー!!」






なんであんな綺麗な人だらけなのに
誰とも付き合おうとしないんだろう。






「彼女じゃないけど一応いるよ。
 許婚の人が。」




い、い、




「許婚!!!?」



凄い!!お金持ち同士の許婚!



いいなあー結婚する人がいて
私にも許婚が欲しいー、、




「俺はそんな結婚、絶対嫌だけどな。
 でもここの家に生まれてきたから
 仕方ねーんだけど」


 

「私も結婚するなら、楽しい事も
 辛いことも乗り越えれた人と
 結婚したい!!」





だって許婚がいるってことは
逆に自由に恋愛できないって事だよね?



そんなことが小さい時から
決められていた碧はどんな気持ちで 
いたんだろう。





初めから運命を決められているような。





「俺もそうだな」





碧の小さな声が遠くから
聞こえてきたけど私はもうその時
夢の中にいた。






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