♠俺様王子と貧乏メイド♧
私はドジなことに尻餅をついちゃって
だけどそんな私の目の前に
差し伸べられている手が…
え。っと思って顔をあげると
「わ。」
ふわりと春の風が吹いたような
気さえした。
ミルクティー色の
ウェーブのかかった髪
透き通りそうなほどの白い肌
長い睫と大きな瞳
華奢な体型
そんな綺麗な人が
私に手を差し伸べて
心配そうに瞳が揺れる。
「ごめんなさい。大丈夫かしら」
ぎゅっ
私はその手を何もいわずに
思わず握ってしまった
だって綺麗すぎて
言葉にならなくて
「あの…」
女の人は握られていない方の手で
私の手を添えるようにして
包み込んできた。
「ご、ごめんなさい!!
私がうっかりしてたみたいで!」
「いえ、私もボーッとしてたから…」
いい匂いする。
この匂いはなんだろう。
「あら、あなたもしかして
碧くんの…」
女の人は何か
思い出したかのような顔をした。
「あ、えとメイドです!!」
「そう!メイドさん!
ふふっ。はじめまして。
サクラノハラ ハナ
私、桜ノ原 華です。」
「は、はじめまして!
真宮 咲良です!」
こんな綺麗な人とお話できるなんて…!!
「じゃあ咲良ちゃんって呼ぶわ。
私のことは華って呼んで。」
「わ、わかりました!
あ、それと美術室って
どこかわかりますか?」
私がにこっと笑って聞くと
華は驚いたような顔をした。
「美術室はこの棟じゃなくて
東側の棟よ?
あなた迷子だったのね。」
「そうなんです!ここ広すぎて…」
「咲良ちゃん転入してきたばかりだから
無理ないわ、私が案内するから
ついてきて」
「え!ありがとうございます!!」
優しい人に会えて良かった!