その光を、追いかけて。




「おはよ」



柚季のトレードマーク、ポニーテールがひょこひょこと揺れる。



「見て見て、金木犀の花!
この香りを嗅ぐと秋って感じするよね」



そう言って、スッと大きく深呼吸。

無邪気な表情に笑顔を返した。



でもはっとなにかに気づくと、じとりと睨まれる。



「もー! ちょっと輝、また髪ちゃんとしないで出てきた⁈
寝ぐせついてるけどー!」

「あー、うん」

「セットしろなんて言わないから、この跳ねた髪だけでも直してきなさいっ」



そうぶつぶつと言いながら、俺を無理やりしゃがませる。

俺の黒髪を念入りに梳いて、満足そうに頷いた。



「よしよし、目立たなくなったね。
じゃあ行こっか!」



柚季が俺の荷物を自転車のカゴに入れる。






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