その光を、追いかけて。




「渉さんの言う通り!
輝はすぐに走り過ぎるんだから、しっかり休憩とかも取ってよね!」



腕を組んで、むすっとした表情。

日頃から聞き飽きたセリフに顔をしかめる。



「えー……」

「ほら、早くジョグ行きなさいっ」



ぐぐぐと柚季に背を押され、しぶしぶ足を進めた。






前を走るのは、学年は違えど仲のいい渉さんと陽介さん。

俺の視線が釘づけになるのは、いつだってあの人だけ。






短距離みたいに大きな動きはない手足。

無駄に上下しない重心。

なんの気なしにしているようで、丁寧なひとつひとつの動き。



ああ、くそ。

なんでこんなにフォームが綺麗なんだ。















────陽介さんは。






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