その光を、追いかけて。
「梓ちゃんがごめんね」
「……」
「そうだ、名前!
名前言ってなかったよね!
鈴宮 仁葉です。君の名前は?」
「……」
「あ、待って待って。
仁葉の前の席ってことはさっき梓ちゃんが言ってた! 今、思い出すね」
「……」
「んーとね、確か、坂元くん!
ね、坂元 輝くんでしょ⁈」
「……」
「答えがないってことは間違ってないってことだよね?
えへへ。やったぁ、当たりだ!」
「……」
なにも話さない坂元くんの前。
ひとり盛り上がる仁葉と、さっきの話のせいで口を挟めない梓ちゃん。
手を合わせて飛び跳ねたり、机に手をついて身を乗り出したり。
ころころ変わる表情、仕草。
そんな仁葉と対極の坂元くんは、口を開かない。
はぁ、と重いため息が聞こえた。
発生源は坂元くん。
めんどくさいと言いそうなその態度が、やっぱり昔の梓ちゃんと少しかぶる。