その光を、追いかけて。




「ユズー! おれの走り見てたー?」

「あー、はい。見てましたよー」

「かっこよかったっしょ?
てるてるから、おれに乗り換えちゃう?」



…………は⁈



またあの人は性懲りもなく……!

なにを言ってくれてるんだよ。



珍しく流し程度で綺麗な走りをしてるなぁと思ってたらこれだ。

柚季に見せるためだったとか。



ジョグが終わったと思ったらすぐに柚季のところに駆け寄る。

うちの部の唯一のマネとはいえ、構いすぎだ。



今は渉さんも陽介さんを見張ってないし、陽介さんからすればチャンスじゃねぇか。



「おれはユズのこと、いつでもウェルカムだよー」と言う陽介さんに危機感を感じる。

ふたりの間に入りこもうと、俺は急いで駆け出した。



だけど、聞こえてきた柚季の言葉に動きを止める。









「あたしは輝のことが好きだから、それはないですよー」






< 110 / 421 >

この作品をシェア

pagetop