その光を、追いかけて。
「ユズー! おれの走り見てたー?」
「あー、はい。見てましたよー」
「かっこよかったっしょ?
てるてるから、おれに乗り換えちゃう?」
…………は⁈
またあの人は性懲りもなく……!
なにを言ってくれてるんだよ。
珍しく流し程度で綺麗な走りをしてるなぁと思ってたらこれだ。
柚季に見せるためだったとか。
ジョグが終わったと思ったらすぐに柚季のところに駆け寄る。
うちの部の唯一のマネとはいえ、構いすぎだ。
今は渉さんも陽介さんを見張ってないし、陽介さんからすればチャンスじゃねぇか。
「おれはユズのこと、いつでもウェルカムだよー」と言う陽介さんに危機感を感じる。
ふたりの間に入りこもうと、俺は急いで駆け出した。
だけど、聞こえてきた柚季の言葉に動きを止める。
「あたしは輝のことが好きだから、それはないですよー」