その光を、追いかけて。
俺たちはしょっちゅう互いに好きだと言い合うようなバカップルじゃない。
むしろどちらかと言うと告白の時に俺が言って、柚季が「あたしも好き」と返しただけ。
それ以外は全くない。
メールもそんなにしないし、しても短文。
必要最低限って感じ。
普段は俺が走ってばっかだから、まともなデートもない。
休みに会ってもトレーニング、トレーニング、トレーニング。
それなのに、こうやって言ってもらえることはなんて幸せなんだろう。
俺が話を聞いていたことに気づいた柚季があうあうと慌て出す。
その姿に俺は思わずうつむいた。
「やってらんないなー。あてつけかよ」
「陽介さ、」
「ほーらてるてる!
ストレッチ行くよ!」
無理やり肩を組まれて、引きずられるように足を進める。
振り返った先には、そっとはにかむ柚季がいた。