その光を、追いかけて。
ひたいに貼られた冷えピタ。
汗をかいた寝間着。
走ったあとみたいにぼーっとする頭。
「……は?」
風邪を引いて学校を休んでいた俺の見舞いに来た柚季の発言に、生気の感じられない声がこぼれた。
「だからね、輝、メンバーに選ばれたんだよ! 10月の長距離記録会の!」
はしゃぐ柚季の声が頭に響く。
ぐわんと揺れた頭はそのままぽすん、と枕に収まった。
「え、ちょっと大丈夫⁈」
「本当?
柚季、うそ吐いてんじゃねぇの?」
「失礼な! あたし、そんなつまんない嘘吐かないよ!」
「じゃあ俺、本当に……出れるってこと?」
じわり、と滲みそうになる涙をふとんで隠す。
ぎゅうぎゅうと顔を押しつけた。
これはあれだ、風邪のせいだ。