その光を、追いかけて。
座席に着いても、じーっとそのまま後ろ姿を見つめる。
先生の話はどうせ代わり映えしないから適当でいいや。
まさかの去年と同じ担任だしね。
吉田 和哉(よしだ かずや)先生──一部ではヨッシーと呼ばれているんだとか。
緑色のジャンプを頑張る生き物が頭に浮かぶニックネームをしてるの。
「はい、じゃあ始業式があるから体育館に移動。
前の席の奴を気にして俺の話を全く聞いていなかった鈴宮は、戻る時に職員室で配布するプリントをもらって来いよ」
「え」
「イケメンは後ろ姿もイケメンだったか?」
にっこり笑った吉田先生。
なんだか暗いオーラが見える気がする。
これはちょっと怒ってるね?
「えへへ、吉田先生も斜め前から見たらイケメンだよ」
「嫌味か」
その時、去年から引き続き同じクラスの元委員長が「体育館に行かなくていいんですか?」と言った。
ようやく本題を思い出した吉田先生に急かされて、仁葉たちは教室を出る。