その光を、追いかけて。
*
「急にあんた、どうしちゃったの」
重い空気の家のリビング。
なんとか口を開いた母さんの問いに「……なにも」と返す。
「なにもないことはないでしょ。
顔はちょっと怖いけど、あんた、優しい子じゃない」
はっと小さく笑いが漏れた。
「そんなわけないよ。
俺は……そんなんじゃ、ない」
リビングのソファに深く体を沈めて、顔を手で覆うように隠す。
「なんかあったなら、言いなさい。
お母さん、ちゃんと聞くから」
俺は柚季を怪我させたんだ。
だけどそのことに気づいてもいなかったんだ。
さっき彼女の友だちに話を聞いたんだ。
────言えるわけが、ない。
やるせない、気持ち。
自分がなにをすればいいのか、したいのかもわからない。
後悔があとからあとから俺を絡めとるように浮かぶ。
胸をかきむしりたいほどもどかしく、苦しくて。
俺は「待ちなさい!」と叫ぶ母さんを無視して、家から抜け出した。
向かうのはここ数日の定番。
────土手だ。