その光を、追いかけて。




……坂元くんは、悲しいことに、ほとんど人と話さなくなっていった。



人が変わったように、声を発さなくなった。

たまに見せていた笑顔も消えた。



仁葉はその姿を想像しただけで、胸が苦しくなる。






そして、部活はやめても。

ひとりを選んでも。

それでも彼がやめられなかったことがあるの。



それは────走ること。






放課後は人の目があるから、朝だけ。

仁葉と会った、あの土手の方に走りに行く。

柚季さんと過ごした中で染みついたその習慣は今も消えていないんだね。



そんな風に日々を繰り返して、坂元くんはずっとひとりでいた。

悲しいことがあった日も、ずっと。






そして、渉さんたちの卒業を見届けて、お母さんに勧められるままに転校を選んだ。

勉強しててよかったと軽く笑って……。



そして、「鈴宮たちと出会った」と、そう言っていたんだ。






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