その光を、追いかけて。
*
「坂元くん、おはよー!」
「……はよ」
声をかけながら、荷物を机に。
返事があったことを確認したら、そのまま逃げるようにクラスの女子の輪に紛れる。
「あ、仁葉じゃーん」
「おはよう」
「みんな、おはよー!」
にっこり。
いつも通り笑いながら、こっそりほっと息を吐く。
坂元くんへの朝の挨拶。
これだけは、どれだけ気まずくてもやめられなかった。
だって、これをやめてしまったら、まるで坂元くんから離れて行こうとしているみたいだから。
そんなわけないのにね。
だから欠かさずしているけど……なんにも気にしてないわけでもなくて。
どこか気まずいままなの。
もちろん怖いわけじゃないよ。
でも、そばにいていいのか、今もまだわからない。