その光を、追いかけて。








「坂元くん、おはよー!」

「……はよ」



声をかけながら、荷物を机に。

返事があったことを確認したら、そのまま逃げるようにクラスの女子の輪に紛れる。



「あ、仁葉じゃーん」

「おはよう」

「みんな、おはよー!」



にっこり。

いつも通り笑いながら、こっそりほっと息を吐く。



坂元くんへの朝の挨拶。

これだけは、どれだけ気まずくてもやめられなかった。



だって、これをやめてしまったら、まるで坂元くんから離れて行こうとしているみたいだから。

そんなわけないのにね。



だから欠かさずしているけど……なんにも気にしてないわけでもなくて。

どこか気まずいままなの。



もちろん怖いわけじゃないよ。

でも、そばにいていいのか、今もまだわからない。






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