その光を、追いかけて。




クラスメートの話をにこにこと聞きながら、ふと柚季さんの気持ちを考える。






きっと……。

きっとね、柚季さんはびっくりしたんだと思う。



坂元くんって口は悪いけど、本当はすごく気づかい屋さん。

不器用なだけで、すごく素敵な人。



だから、柚季さんは坂元くんが知らない人みたいで怖かったんだと。

自分の言葉が届かなかったことが悲しかったんだと思うんだ。



仁葉も、もし……もしね、絶対にないけど。

ないからこそ、光ちゃんに手を振り払われたらって考えたら、胸が苦しくなった。



拒絶されたことのない、特別な人。

それなのに、目に入れてもらえなかったら辛いもん。



だから、怖いと思ってしまって。

そう感じたそんな自分が嫌で嫌でたまらなくなったんでしょ?



目をそらして、逃げ出してしまったんでしょ……?






< 157 / 421 >

この作品をシェア

pagetop