その光を、追いかけて。




「ちょっとー、仁葉?
話聞いてないでしょー」

「ふぇ」



むにっと頬をつままれる。

じとり、と仁葉を見てくるみんな。



「う、ごめーん」



まったく! と言って笑いながら、仁葉の頬をつまんでいた子が手を話す。



ヒリヒリ、ズキズキ。

痛むところにそっと手を当てる。



うう……容赦なかった。



「仁葉、今日はぼーっとしてんね。
どうしたの?」

「え、えー。うーんと……」



どうしよう。

言えるわけない。

坂元くんの過去をそんな簡単に言いふらしたりするみたいなこと、できない。



梓ちゃんに話した時とは違うよ。

だって、あの時は坂元くん本人から頼まれてたんだもん。






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